医師そのものの数がそもそも少ない、これは日本全体の問題です。
しかし、その中でも地域格差があることをまずは認識すべきでしょう。
地域ごとの医師数の格差を是正できなければ、医療水準にも格差が生じ、それがさらに地方への負担を大きなものにしてしまいます。

医療水準が低い、医師の数が極端に少ない地域に誰が住みたいと思うでしょうか。
いくら自然が多くても、空気が綺麗でも、人との関わりを持たなくて済むとは言っても、医師がいなければその地域はそれ以上発展のしようがなく、むしろ衰退の一途を辿ってしまうでしょう。

医師不足に地域格差がある理由

医師不足に地域格差がある理由は、新医師臨床研修制度の影響が大きいと言われています。
この制度により研修医の自由度が増し、大学病院、いわゆる医局ではなく、さらに最先端の設備を整え多くの症例と向き合うことができる病院へと研修医が移って行きました。

となると、若い医師を大学病院側が確保できなくなるという問題が生じます。
大学病院は地方に派遣していた医師を呼び戻すなどしたため、その影響により地方から医師が続々といなくなってしまったわけです。
その結果露呈したのが、地域ごとに医師の数に偏りがあるという現状。

一度このような状況になると、これを是正するのは簡単なことではありません。
医師が不足している地域では1人の医師が負担する業務が増えます。わざわざそのような状況へと飛び込む医師がいるでしょうか。

地方は医師を確保するため都市部よりも待遇を良くしているとは言われていますが、それでも多くの医師を地方へと呼べるほどの高待遇とは言えないでしょう。
多くの医師は、多少待遇が劣っていたとしても地方よりは楽に勤務でき、設備も整っている都市部の病院を選択します。
この傾向がなかなか崩れないため、いつまで経っても地域格差が解消できずにいるのです。

格差是正への取り組みが急務

2014年のデータを見ると、10万人当たりの医師の数が多い地域は東京や京都、徳島などとなっています。
一方、医師の数が少ないのは埼玉や茨城など。
トップの京都と最下位の埼玉では10万人あたりの医師の数が50人以上異なり、つまり、100万人当たりで見れば埼玉などは京都などと比較して500人もの医師不足に陥っていることになるのです。

この京都や東京も、決して人数が足りているわけではありません。
ですから医師の絶対数を増やす必要がそもそもあるのですが、それと同時に格差是正への取り組みも急務であることは間違い無いでしょう。

無責任なことを言えば、これから就職先や転職先を考える時、医師の数の少ない地域で働くことも視野に入れながら職場を選んでもらいたいところ。
そうした意識が、結局は医師の足りない地域を助けることになるはずです。

 Point!

・『医師の数が少ない』という日本全体の問題の中でも『地域格差があること』がそもそもの問題である。
・地域格差がある理由は『新医師臨床研修制度』で研修医が大学病院ではない病院に移ってしまい、大学病院が若い医師を確保できなくなって地方に派遣していた医師を呼び戻してしまったから。
・地方が医師を確保するため高給、好待遇で募集しても医師にとって負担が多い地方には来ない為、いつまで経っても地域格差が解消できずにいる。